はじめに

「どこでもフォーム®EDC」は新薬開発にかかわる臨床試験や製造販売後調査、治験のデータ管理に用いられるEDC(Electronic Data Capture:治験で得られた臨床データを管理する)システムで、クラウドサービスとして提供されている。従来のEDC製品と比較して、初期投資の大きな負担がなく、短期間で導入できるのが特徴で、製薬企業だけでなく、学術研究の場や創薬ベンチャー企業にとっても導入しやすいサービスとして提供しており、その利用実績を伸ばしている。

実は「どこでもフォーム®EDC」は単に、導入しやすく・簡単に使える便利なツールだけではない。もう一つ、臨床試験・治験で求められるGCP対応、つまりデータの信頼性の確保にも大きく関わっているのである。

開発のきっかけ

「どこでもフォーム®EDC」が生まれたのは、とある外資系製薬企業との出会いによる。研究・開発コストに見合うEDCを探していたこの製薬企業がノンプログラミングで各種フォーム作成、リアルタイムデータ分析ができる「どこでもフォーム🄬」に目をつけたのだ。同システムをEDC用に対応できないかと依頼されたスタースフィア株式会社は「プログラミングの知識がなくてもあらゆる臨床試験実施計画書で定めた症例報告書フォームをスピーディーに構築」「症例報告書入力者の操作性を第一に考えた」EDCとすることを目指し開発した。

「どこでもフォーム®EDC」を使うと、プログラミングの知識が一切なくてもeCRFを簡単に数日から構築することが可能であるため、臨床試験実施のスピード化に繋がる。それに伴い、新薬の特許期間拡大、さらには製薬・医療機器業界の収益拡大にも繋がり、過酷な競争下に置かれるい臨床試験の現場から評価され、より製品としての価値は高まった。また、同EDCシステムは複数の臨床試験を同一アカウントで利用することができ、複数試験を同時に行う必要のある責任医師にとって臨床試験の管理がしやすくなるのではと期待の声も寄せられている。

操作性が向上出来る便利機能
プログラミング知識なしで使用可能

高まるデータの信頼性の確保

EDCにとって肝心なのは扱うデータの管理であると利用者は皆口にする。新薬開発の段階において被験者の権利と安全が最大限に守られる必要があるため薬事法に基づいて厚生労働省によりGCPが定められているが、利用者の中にはその対応に苦慮している声も聞こえてくる。さらには、2017年(平成29年)4月14日交付の臨床研究法制定の原因となった製薬会社におけるデータ改ざんという不祥事により、ただでさえ多忙を極める医療現場では、安心かつ負担なくGCPおよび関連法令の遵守を行えるシステムが渇望されている実情がある。

* 1998年より、医薬品開発の臨床試験は新GCP省令の下で行われることが、法律で義務付けられている

以下は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構 信頼性保証業務のフローチャート(医薬品)と信頼性保証業務について説明をするページの一部である。

    " 信頼性保証業務とは、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の承認申請又は再審査・再評価/使用生成期評価

    申請された品目について、申請書に添付された資料(承認申請資料又は再審査・再評価/使用成績評価申請資料)が、

    厚生労働大臣の定める基準である医薬品・医療機器又は再生医療等製品 GLP(安全性に関する非臨床試験の実施の

    基準に関する省令に示された基準)、医薬品、医療機器又は再生医療等製品 GCP( 臨床試験の実施の基準に関する

    省令に示された基準)、医薬品、医療機器又は再生医療等製品 GPSP(製造販売後の調査と試験の実施の基準に

    関する省令に示された基準)及び「申請資料の信頼性の基準(医薬品医療機器法施行原則第43条、第61条、第114条の22、

    第114条の42、第137条の25又は第137条の42)」に従って収集され、かつ作成されたものであるかについて調査すること”

これだけではない。EDCが企業主導治験と同レベルのER/ES指針に準拠し、GMP省令での要求事項であるコンピュータシステムバリデーション(CSV)をサポートしていることを確認するのも信頼性の確保に欠かせない。

臨床試験や治験は大きなプロジェクトであり、計画的にかつ信頼のある手段で行わなければならない。また、プロトコルの設定から患者の募集とその実施、そしてデータを収集するまでの様々な道のりや手順、時には越えなければいけない課題が降ってくることもある。そうやって得た貴重なデータがGCP実施調査/基準適合性調査で万一パスしなかったら、そのリカバリーには多大な労力が降りかかるのである。EDCの選定にはGCP準拠そしてデータの信頼性の意味と価値を本当に理解している企業・製品を選ばなければならないのである。

GCPを超えた取り組み

 データの信頼性はそのデータの管理においても影響される。「どこでもフォーム®EDC」はリアルタイムデータベースバックアップを行い、改ざんの困難なクラウドプラットフォームであるMicrosoft Azure上で稼働している。これによりセキュリティ認証を取得している国際的な業界固有のコンプライアンス基準を満たすインフラ上でEDCを稼働させることが可能となり、大きな安心と確かな信頼性を担保できるのである。さらに、システム活用でクラウドの利点を享受することで、責任医師や研究者がプラスアルファの作業となってしまう、学内・企業内でデータセンターの管理を行う必要がなくなる。責任医師や研究者は本来の業務に集中すべきであり、それによりさらに信頼性の確保も保たれるのである。

 ユーザがいつどのようなオペレーションやデータ修正を行ったのかを確認可能となる監査証跡機能も信頼性とは欠かせない。監査証跡はデータの信頼性確保の目的だけでなく、運用面においても疑義が生じた際に確認ができる重要な機能である。電子記録でも紙の記録でもデータ改ざんは比較的容易にできるものの、それを発見・検知することが難しいと言われてきた。しかし、今やEDCにもブロックチェーンの技術による高いレベルでの改ざん防止対策を施す時が近づいてきている。「どこでもフォーム®EDC」にブロックチェーンの技術が搭載され、今まで以上のデータの信頼性の確保に効果を発揮することが可能となる時がすぐそこまで来ているのだ。

信頼性のあるデータの追求に終わりはない

臨床試験の現場では、臨床研究法が施行されることで臨床研究の実施を控えているという声が実際にささやかれている。しかし信頼性の確保への追求のため、臨床研究を委縮させるのではなく活性化させることこそが、国民の健康増進のため、医療の発展のためには不可欠ではなかろうか。

 「どこでもフォーム®EDC」は活性化のための「初期導入費及び構築費無料」プランをリリースした。同EDCシステムは平成29年4月14日公布の臨床研究法にもスムースに対応できるシステムとして提供される。

信頼性の確保とは、GCP、臨床研究法、インフラなど複合的に考察していかなければならない。「どこでもフォーム®EDC」はその全てに応え、信頼性の確保に引き続き貢献していく。